研究とイノベーション

Open Flow Microperfusion® (OFM)

JOANNEUM RESEARCH HEALTHにより開発されたサンプリング技術

Open Flow Microperfusion（OFM）は、メンブレンを使用しない、低侵襲のin-vivoサンプリング手法であり、前臨床医薬品開発研究およびバイオマーカー研究のための連続的な間質液（ISF）サンプリングが可能になります。OFMの決定的な利点は、メンブレンなしのOFMプローブを使用して、さまざまな組織のISFに直接アクセスできることです。メンブレンを使用しないOFMプローブは、拡散バリアのない交換領域を特徴としているため、OFMサンプリングは分子のサイズや親油性、タンパク質結合効果によって制限されません。これは、低分子量または親水性物質のみをサンプリングできるメンブレンベースのプローブとは対照的です。

OFMは、皮膚（真皮OFM、dOFM）および脂肪組織（脂肪OFM、aOFM）のISFから検体を連続的にサンプリングするように設計されています。

OFMは、親油性化合物および親水性化合物、タンパク質結合および非結合薬物、神経伝達物質、ペプチドおよびタンパク質、抗体、ナノ粒子およびナノキャリア、酵素およびベシクルをサンプリングすることができます。

OFMではマクロな開口部を持つプローブを使用しており、拡散ではなく対流に基づいて流体経路内の物質を非選択的に交換することができ、両方向の交換が可能になります。

プローブの灌流液と周囲のISFの間の直接液体経路により、調査対象組織（皮膚、脂肪組織）から、希釈されたが変化しなかったISFが収集されます。このようにして、ISFに存在する内因性および外因性物質を、変化したサンプルを調査するリスクなしに定量化することができます。

皮膚OFM（dOFM）

dOFMにより、局所的または全身的な薬物投与後の皮膚内における薬物輸送および薬物透過の評価が可能になります。dOFMは、外用医薬品の生物学的同等性を評価するための新しい方法として、米国食品医薬品局（FDA）により推奨されています。dOFMは以下の目的で使用されています。

薬物の組織特異的薬物動態（PK）および薬物動態（PD）試験の実施
新規外用医薬品製剤の対面比較の実施
皮膚のバイオアベイラビリティの評価
抗体などの高分子化合物の調査

OFMを使用した比較試験は、ジェネリック外用医薬品の評価において特に有用であることが証明されています。市場承認を得るために参照される医薬品との生物学的同等性を実証する必要がある場合に利用できます。dOFMの応用には、組織外植片を用いたex-vivo試験や、前臨床および臨床in-vivo試験が含まれます。

脂肪OFM（aOFM）

aOFM probe for use in skin and adipose tissue — Open-Flow-Microperfusion_OFM_Linear-Probe_a-dOFM_P-15_scope

dOFM probe for use in skin and adipose tissue — Open-Flow-Microperfusion_OFM_Linear-Probe_a-dOFM_P-15

aOFMを使用することで、皮下脂肪組織の代謝過程（グルコースや乳酸のモニタリングなど）や、インスリン（5.9 kDa）などのより大規模な検体の継続的なオンラインモニタリングが可能になります。さらに、代謝シグナル伝達に対するポリペプチド（レプチン、サイトカインIL-6、TNFα）の役割について、aOFMを用いた研究が行われています。 aOFMにより、脂肪組織中に存在するタンパク質（例：アルブミン、サイズ：68 kDa）の定量が可能になります。これにより、長時間の遅延インスリン作用を意図して設計された高タンパク質結合インスリン類似体などのタンパク質結合薬物を、脂肪組織中で直接評価することが可能になります。最近では、aOFMは肥満、脂質代謝および免疫炎症を研究するためにサンプルのアゴニストに使用されています。aOFMの応用には、組織外植片を用いたex-vivo試験や、前臨床および臨床in-vivo試験が含まれます。